カウンターポイントリサーチ (英文名: Counterpoint Research 以下、カウンターポイントリサーチ社)は、AIサーバー向けコンピュートASICにおける世界の高帯域幅メモリー(HBM)のビット需要は、2024年から2028年にかけて35倍に拡大する見込みであるという市場予測を含むHPC Service Data Center AI Server Compute ASICs Shipment Forecast and Trackerによる最新調査を発表致しました。
カウンターポイントリサーチ社のHPC Serviceによる最新調査Data Center AI Server Compute ASICs Shipment Forecast and Trackerによると、AIサーバー向けコンピュートASICにおける世界の高帯域幅メモリー(HBM)のビット需要は、2024年から2028年にかけて35倍に拡大する見込みであると予測されています。
この爆発的な成長は、カスタムシリコンアクセラレーターに関する当社のこれまでの分析を踏まえると、主に独自アクセラレーター全体で高密度メモリーアーキテクチャの採用が広がっていることに支えられています。主な需要拡大要因としては、Geminiエコシステムを支えるためのGoogleのTPUインフラの積極的な拡張、AWS Trainiumクラスターの継続的な導入、さらにMetaのMTIAやMicrosoft Maiaの立ち上がりが挙げられます。ハイパースケーラー各社が引き続き自社シリコンのポートフォリオを急速に拡大する中、業界全体としては、HBMが次世代AIワークロードを支える重要な基盤であり、主要な設備投資対象になっていく方向にあります。
このトレンドの大きなポイントは、より広いAIアクセラレーターの獲得可能な最大市場規模(TAM・Total Addressable Market)の中で、カスタムASICが世界のHBM消費量に占める比率を急速に高めつつあるという構造変化です。特に重要なのは、この需要急増が、個々のチップレベルでのメモリー密度の大幅な向上によって支えられている点です。1チップ当たりの密度が指数関数的に増加しているのは、次世代AIワークロードの要件が急速に高度化していることへの直接的な対応です。ハイパースケーラー各社が、兆単位パラメータモデル、マルチモデルアーキテクチャ、複雑なMixture-of-Experts(MoE)設計へと急速に移行する中、より大きなデータセットを計算コアの近くに保持するためには大容量・高密度メモリーが不可欠です。これにより、データスループットを最大化し、高度な推論処理における遅延を最小化するとともに、メモリーボトルネックがシステム全体の性能を損なわないようにする必要があります。
この流れは、AIサーバー向けコンピュートASICがHBM市場全体に占める割合を今後ますます高めていくことを意味しており、メモリー需要の構造が、単に市販GPUへの依存一辺倒だった状態から大きく多様化していくことを示しています。同時に、ASIC向けメモリーの構成も世代交代が明確に進んでいます。HBM3Eは2028年までにASIC向けHBMビット需要全体の約56%を占め、圧倒的な主流になる見込みです。これは、クラウドサービスプロバイダー各社が最大帯域幅性能と、すでに成熟しつつあるサプライチェーンを重視しているためです。
HBM3Eのシェア配分に関して、カウンターポイントリサーチ社リサーチアソシエイトDavid Wuは次の通り述べています。
「HBM3Eは、現在のAIアーキテクチャにとって最適解であることが証明されています。巨大なパラメータモデルにおけるメモリーウォールのボトルネックを克服するために必要な、圧倒的な帯域幅と高密度を実現できるからです。Samsungが歩留まりを安定化させ、これまでの供給制約を緩和したことで、主要クラウド事業者は今後のASICにHBM3Eを安心して標準採用できるようになっています。私たちは、この幅広い採用が少なくとも2028年まではHBM3Eの過半シェア維持を支えるとみています。」
図1: AIサーバー向けコンピュートASICのメモリービット需要の成長とシェア・2024年から2028年(予測含む)

出典:カウンターポイントリサーチ社 HPC Service
※四捨五入により構成比の合計が100%にならない可能性があります
カウンターポイントリサーチ社リサーチディレクターMS Hwangは次の通り述べています。
「HBM3Eまでは、HBMは顧客ごとの差別化がほとんどない既製品として位置付けられていました。しかし、ロジックをベースダイに統合するHBM4から、さらにHBM4Eへと進む中で、市場は今後ますますカスタムHBMへと進化していくでしょう。」
さらにMS Hwangは次の通り付け加えています。
「カスタムHBMの採用は、ASIC向けに特化した性能向上を実現するため、今後も拡大していくでしょう。これはメモリーサプライヤーにとって、ロジックダイ設計コストを価格に反映できるだけでなく、顧客との強いロックイン効果によって安定した数量を確保できる、高付加価値ビジネスを生み出す大きな機会となります。」
先端パッケージングの必要性と生産能力の動向に関して、カウンターポイントリサーチ社シニアアナリストAshwath Raoは次のように述べています。
「TSMCは引き続き最大の恩恵を受ける立場にあります。というのも、多くのベンダーが依然として同社のCoWoS-SおよびCoWoS-Lソリューションを採用しているためです。」
さらにRaoは次の通り付け加えています。
「ただし、TSMCの能力制約が続く中、Googleやその他の主要プレーヤーの一部は、次世代の先端パッケージング手段としてIntelのEMIB-Tも検討し始めています。この技術の導入が成功すれば、TSMC一極集中からの分散を後押しする業界の大きな転換点になるでしょう。より高いコスト効率と、より大きなパッケージサイズへの対応力を備えた、有力な代替手段が生まれることになるからです。」
ベンダー別の市場シェアの観点では、世界のHBM市場は今後もしばらくSK hynixとSamsungの2社による高い集中状態が続く見込みです。ただし、その内部構成は変化しつつあります。私たちは、Samsungが着実に存在感を高め、差を加速度的に縮めていくとみています。これまでの生産上のボトルネックを乗り越えたことで、Samsungは歩留まりの安定化と製品性能の改善を実現しており、今後のAIインフラ導入局面において割当シェアを積極的に取り戻せる立場にあります。もっとも、これはゼロサムゲームではないため、私たちはMicronがこのカスタムAIサーバーアクセラレーター市場向けHBMでどの程度デザインウィンを獲得し、生産能力を背景に存在感を高めていけるかにも注目しています。
これらAIクラウドサービスプロバイダー(CSP)への需要集中に関して、カウンターポイントリサーチ社リサーチディレクターGunnar Thoresenは次の通り述べています。
「Googleは引き続きカスタムシリコン市場の最大の牽引役です。当社の最新のサプライチェーン・チャネル調査に基づくと、2026年から2027年にかけてのGoogle TPUエコシステムの導入動向について、当社は非常に前向きな見通しを維持しています。」
さらにThoresenは次の通り続けています。
「その結果、当社は今後のTPU世代に関する出荷予測を上方修正しました。この積極的なインフラ拡張は、GoogleのHBM需要を直接的に大きく押し上げ、同社が世界の先端メモリー供給能力における中核顧客である地位をさらに強固にすることになります。」
図2:AIハイパースケーラー別AIサーバー向けコンピュートASICのメモリービット需要成長とシェア予測・2028年

出典:カウンターポイントリサーチ社 HPC Service
※四捨五入により構成比の合計が100%にならない可能性があります
詳細な調査内容に関しては、次の契約クライアント向けレポートをご参照ください。
AI Server Compute ASIC Shipments to Triple by 2027 as Custom Silicon Enters Hyper-growth Phase
Global AI Server Compute ASIC Shipment by Chip Model, Hyperscaler, Design Partner & Foundry Forecast, Jan 2026
Foundry Monthly Intelligence Report, February 2026
Memory Price Tracker, March 2026: Prices More Than Double in Q1 2026
Memory Tracker and Forecast Insights Report, Q4 2025
本プレスリリースに関する詳細並びに情報は、こちらからご覧いただけます。
https://counterpointresearch.com/en/reports/Global-AI-Server-Compute-ASIC-Shipment-Mar-2026
*本プレスリリースは2026年3月13日に発表されたプレスリリースの日本語版です。原文はこちらをご参照ください。
https://counterpointresearch.com/en/insights/HBM-Demand-for-AI-Server-Compute-ASICs-to-Grow-35x-by-2028
今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したものです。
【カウンターポイントリサーチ社概要】
テクノロジーエコシステム全体にわたる製品を専門とするグローバル市場調査会社です。世界の主要なイノベーションハブ、製造クラスター、商業センターに拠点を構え、スマートフォンOEM、チップメーカー、チャネル企業、大手テクノロジー企業など、幅広いクライアント様にサービスを提供しています。経験豊富な専門家が率いる当社のアナリストチームは、経営幹部から戦略、アナリストリレーション(AR)、市場情報(MI)、ビジネスインテリジェンス(BI)、製品・マーケティングの各分野のプロフェッショナルまで、企業全体のステークホルダーと連携し、市場データ、業界のソートリーダーシップ、コンサルティングといった幅広いサービスを提供しています。
公式ウェブサイト: https://japan.counterpointresearch.com/